2020年2月14日金曜日

谷川賢作さんについての投稿


矢野顕子さんが大好きだ。カバー曲の多いmitatakeのレパートリーの中で、一番多いのが矢野顕子さんのカバーだ。短いライブの時なら、全部矢野さんの曲というときもたまにある。矢野さんもまたカバーをよくされる。オリジナルも膨大だが、カバーもまた膨大な数だ。高校3年の冬。大学受験も佳境で、ご飯とトイレと睡眠以外は勉強という生活をみんながしている中、ぼくは我慢ができなくて、その1月ほど前に出たばかりの矢野さんのカバー弾き語りアルバム『Home Girl Journey』を買ってしまった。1月は我慢しているところを評価してほしいが、そのアルバムはほんとに素晴らしくて、勉強の合間、そして、学校が自宅と少し離れたところにあったので、電車の中や、自転車でそれこそ富士宮市民文化会館の脇なども通ったりしながら、CDウォークマンでよく聴いた。山下達郎さんの『PAPER DOLL』という曲から始まるそのアルバムは、ピアノの音がなんだかすごくリアリティーがあるというか、そばで聴いているみたいというのともまた違うが、音にお化粧とかしていない、ほんとに矢野さんが弾いてるそのままを詰めたと感じるような、それもまた違うような気がするのだが、うまく言えないが、とてもすーっと自分の中に入ってくる作品という印象で、初聴から惹き付けられまくった。アルバムタイトル曲のオリジナルも含め、選曲も素晴らしくて、これは1992年に出た弾き語りカバーの第一弾で歴史的なカバーアルバムとしてとても人気が高く、当時のぼくも一番好きだった『SUPER FOLK SONG』を、超えた!!!と、最後まで聴いてそう思った。中でも高校生のぼくを惹き付けてやまなかったのが、『DiVa』というユニットの、『さようなら』という曲だった。詞が谷川俊太郎、曲が谷川賢作。親子かなと思った。調べると、親子だった。日本で一番有名な詩人といっても過言でない谷川俊太郎。そして、その息子でピアニストの谷川賢作。谷川賢作という人は知らなかったが、なんだかすごい強力なコンビだなあと知らないながらに思った。矢野さんが演奏する『さようなら』はほんとに何度も聴いた。詞がいまだに理解できていないし、その当時は詞なんてほぼ聴いていないに等しかったぼくだが、言葉から出ている力というか、オーラというか、パワーというか、1ヶ所だけお母さんにはメッセージあるけどお父さんには宜しくいっといてみたいなのかわいそうだなと思ったりしたが、なんか詞全体のそういう言葉の力みたいなのが曲の力そして矢野さんの力と合わさってとても大きなものになっているのを感じて、すごく衝撃を受けた。で、メロディーがまた好みだった。難しくて聴いたことないものだったが、好きだった。矢野さんの曲も毎回そうだし、なんだか矢野さんに似たものを感じていたのかもしれない。谷川賢作って人は有名な人の息子だけど、本人もすごいなあと失礼ながら思った。東京に行ったら谷川賢作に会えるかなあ、無理かなあ、会えたらいいなあ。どんな人かなあ。こんな曲をかける人なら温かいかなあ。有名な人の息子だから冷たいかなあ。冷たくても会いたいなあ。会ってもなにしゃべったらいいかわかんないなあ。でも会いたいけどなあ。まあ 無理だな。そう思って、それからDiVaや谷川賢作を調べることはなかった。矢野さんの新アルバムを買ってから4ヶ月、ぼくは埼玉県川越市に引っ越した。大学に受かったのだ。川越は、3つの電車が走っており、当時見田くんが住んでいた場所にも、都内にも、そして大学にも行ける、ぼくにはとても便利な場所だった。毎週のように見田くんちに行って遊んでいた。見田くんとよくライブも観に行っていたが、初めて行ったのが、日本で一番を決めるハーモニカのコンテストだった。コンテストの出場者は皆さん上手で圧倒されたのだが、そのあとのプロの模範演奏に、続木力という人がでてきて、その人のハーモニカに心の方を盗まれた。その日から続木さんを思い、続木さん情報を調べた。当時は今とは全然違ってなにか調べるのも一苦労だったのだが、なんとか調べて、なかなか勇気が出ず行けなかったが、半年以上たってからやっとライブを観に行った。そのライブの終演後に、これから行われる続木さんのライブのチラシをもらった。そこには、『パリャーソ』という奇妙すぎるユニット名のライブ情報がかいてあり、ハーモニカは続木力、そして、ピアノが、『谷川賢作』だった。うそ!谷川賢作!うそ!ほんとに!と思った。そんなことがあるのか。絶賛感銘受けまくり真っ最中のハーモニカ奏者が、矢野顕子さんの一番好きなアルバムの中の一番好きな曲をかいている人と、会えたらいいけどどうせ無理だなーと思っていた人と、いっしょに演奏するなんて!そんなことが!まさかそんなこ、まさか!まさか!信じられなかった。信じられなかったし、チラシは、黄色い紙に、モノクロの、画質がとても悪い写真で、続木さんも谷川賢作もほぼ顔がわからなかった。谷川賢作の方は、辛うじて髪型が爆発型の感じなのかなあというのがわかった。でもそれ以外は場所と時間くらいの情報しかなく、今まで聴いていた続木さんが、さようならを作曲したピアニストの谷川賢作といっしょに、どんなことをやるか全く想像がつかなかった。このユニットほんとにいいのかな?というか、ほんとにあるのかな?続木さんってあの続木さんかな?谷川賢作はあの谷川賢作なのかな?谷川賢作はもしかしたら違う谷川賢作かもしれないよな?彼のライブで配られてるし続木さんは続木さんか。でもまあとにかく不安だった。いろいろ不安だった。不安だったのだが、ぼくはもしこの二人が本物だったら、こんなこと偶然とは思えなかったので、いろいろと確かめる意味でも、勇気を出して、そのライブに1人で足を運んでみた。吉祥寺と三鷹の中間くらいの位置なのだろうか。今はもうないが、『ラ・フォルテ・カフェ』という、1階がカフェ、地下がライブスペースになったとても素敵なところで『パリャーソ』のライブは行われた。パリャーソは、時間になると登場した。少し疑っていたが、本当に続木さん、そして、谷川賢作のユニットだった。谷川賢作さんの顔がはっきりと確認でき、それは、高校の時DiVaのホームページで見た谷川賢作と同じ顔だった。本人だ、と思った。育ちのよさそうな、お顔立ちだった。髪は爆発型ではなかった。切ったばかりのタイミングだったのだろうか。二人は少ししゃべって、というか、谷川賢作さんがなんだかまとまらないようなことをしゃべって、安心した矢先に違った不安を煽られたところで曲が始まった。うわ、これじゃん。と思った。続木さんのハーモニカがこれじゃんなのはわかっていたが、続木さんのハーモニカに合う楽器?演奏者?人?たぶんこれなんだと一瞬で思えた。これだ、これいいわー。これなにこれ、これじゃん、これじゃんと思いながら聴いていた。曲も素敵な曲ばかりで、フォーククルセイダーズの『悲しくてやりきれない』を矢野さんカバーバージョンで、といってやっていたりした。これだわと思った。カバーバージョンといってるけど、2人の音は無二無二としていた。これだわなと思った。続木さんのハーモニカはもう聴いているのでこれなのはわかっているのだが、谷川賢作さんも素敵なのは、矢野さんがカバーしている時点でなんとなくは予想はできるのだが、だがでもしかし、こんなにこれなピアノだと思わなかった。美しかった。よかった。上手だった。うまい!うまかった!ぼくの中の最上級、『うまい!』だった。あと、谷川賢作さんのかいた曲がまたすごくいい曲ばかりで、これだと思ったし、それは矢野さんもこの人の曲カバーするよなあーと思った。この日から、続木さん、そして、ライブ中にさん付けになった『谷川賢作さん』の音楽に夢中になった。その後調べた結果、谷川賢作さんは、ピアニストだけでなく、『そのとき歴史が動いた』のテーマ曲とか市川崑監督の映画の音楽とかやっているすごい人だった。そんなにすごい人なのに、2回目のライブを観に行ったときに、ぼくのことをたくさん聞いてきてくれて、mitatakeというユニットをやってるといったら、じゃあ、次のライブのオープニングアクトやんなよ、と、言ってきてくれた。mitatakeを聴いてもいないのにだ!なんなんだこの人は!八つ墓村なのに!竹取物語なのに(両方市川崑監督の映画で賢作さんは音楽担当)!やさしいのか、なんなのかわからなかったが、すぐに見田くんに伝えた。オープニングアクトをやらせてもらえる日は雨だった。場所はあの『ラ・フォルテ・カフェ』だった。ぼくたちは、矢野顕子さんの『いろはにこんぺいとう』という曲をやった。賢作さんは、最高だよな!曲のセンスいいよな!みたいなことをいってくれて、ぼくらのことを気に入ってくれたようだった。ライブの最後にはパリャーソにぼくらも混ぜてくれて、とても楽しかった。賢作さんの懐というか、なんというか、彼の大きさを感じた。そのときにたぶん、すでにmitatakeのレパートリーだった『さようなら』もやらせていただいたと思う。その時の賢作さんの反応を覚えていない。なんといってくれてたのか。今頃になって気になるが、作曲者の前で演奏させていただく幸せを噛み締めながら演奏させていただいたと思う。まさか『谷川賢作』に会うどころか、いっしょにできるなんて。月並みだが、『Home Girl Journey』を買った当時のぼくに教えてあげたい。それから賢作さんは、パリャーソ関係だけでなく、いろんなライブにオープニングで使ってくれたり、オーディオ雑誌のデモCDの録音に誘ってくれたり、ほんとにいろんな仕事をmitatakeにふってくれた。もちろんいまだにふってくれる。賢作さんのおかげで、mitatakeはとてもいろんな経験をさせていただいた。名前も知られていない、よくわからないデュオに、ここまでしてくれるなんて。感謝しかない。お父様の俊太郎さんともごいっしょさせてもらったり、銅版画家山本容子さんを紹介していただき、容子さんと山下洋輔さんのコラボコンサートに呼んでいただいたり、ほんとに楽しい思いをさせていただいた。というか、いまだに楽しい思いをさせていただいている。でも、賢作さんは、mitatakeに厳しく、いつも、お前らだめだ!もっと前に出ろ!みたいなことをずっと言ってくる。だから、いろいろしていただいているのに、いつしか、賢作さんの中ではmitatakeってだめなやつらなんだろうなー、なんか辛いな-、恩返ししたいなー、でもだめだめだしなー、みたいなことをずっと思ってどこかふてくされてはいたのだが、昨年の6月、2年ぶりにパリャーソとmitatakeが共演させてもらった。とても楽しくさせていただいたのだが、その日の夜?明けて朝?に、賢作さんが、mitatakeってほんとにいい。タケの歌で不覚にも泣きそうになってしまった、我慢したけど。みたいなツイートをしてくれていて、ぼくは、まさか賢作さんがこんなことを思ってくれたなんて!と、感極まって、ツイートを見たときは電車に乗っていたのだが、こっちは我慢できずに涙が溢れた。賢作さんは、僕たちのことを見守ってくれてたんだ、認めてくれてたんだ。その賢作さんのツイートにとても救われた。頑張ろうと思えた。賢作さんって、ほんとにmitatakeの支えです。会わなくてもなんかどこかで支えてくれている、そんな素敵な人です。これからも賢作さんと関わらせていただきたいし、mitatakeのコンサートとかにゲストで来てほしいし、パリャーソと4人でコンサートさせてほしいし、若い頃のように、終電逃して賢作さんちのピアノの部屋に泊まりたいし、起きてすぐ、もう立派な大人だけど息子のあるとくんとキャッチボールしたいし、お兄ちゃんキャッチャーうまいねーって御世辞言われたいし、とかとか、ずっと末永く宜しくお願いいたします。ぼくは、これからも、谷川賢作さんの、『進化』を、とても楽しみにしております。





 賢作さんは、というか、パリャーソは、


 2/23(日)

成城学園前 Cafe Beulmans

 【 出演 】 Palhaço:続木力(harm., recorder), 谷川賢作(pf)
 【 時間 】開場14:30 開演15:00
【 チケット 】ミュージックチャージ3,200円+要2ドリンクオーダー
 【 ご予約・お問い合わせ 】 Cafe Beulmans tel.03-3484-0047 info.cafebeulmans@gmail.com
メールでのご予約の場合、必ず当日ご連絡がとれる電話番号をご記載ください


 こんなライブをします。 パリャーソは、素敵です。 未体験の方、経験者の方共に、是非!! 賢作さんのピアノは、一度聞くと通いたくなります。お気をつけくださいませ!

http://tanikawakensaku.com







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