私は佐野岳彦のハーモニカの師匠である。
佐野は感覚派というか、吹きたいと思った事、これが気持ちいいと思うイメージを 何も考えずに楽器に乗せて行くタイプ。
その歌い回しは時にセオリーから逸脱し デタラメだったりもするのだが、そのデタラメをまかり通してしまうだけでなく、不思議な魅力をそのデタラメに乗せてしまう。そういった妙な才能が佐野にはある。
世界広しと言えども、佐野のようなハーピストは二人と居ない。そのプレイスタイルの面白さは、師匠として太鼓判を押したい。
歌の方は、生来の歌心に加え、優げであるが 抜けが良く、歌詞をしっかり伝える歌声と、独特な間合いが聴く者の心をわしづかみにする。
佐野とタッグを組むのが、ギタリスト 見田諭。
こちらは天然物の佐野とはうって変わって理知的。佐野の良さを熟知した上で、その魅力をのびのびと発揮出来るよう 音楽を構築するデザイナーである。
プレイスタイルは、オリジナリティーがあり、端正。美学があり、よく研究された演奏は 音楽をよく知る者をも唸らせるであろう。
野人の佐野と知性派の見田、正反対の二人の組み合わせの妙は
、まだ彼らが学生で、ユニット結成間もない頃から感じられた。会場を湧かせる というより、リスナーの心にじわっと浸透して、時間を止めてしまう力。歌も演奏もまだまだ拙い二人であったが、自分たちの世界を濃厚に醸し出し、リスナーを引き込んでしまうものが既にして備わっていた。
それから20年の時を経て 醸成された二人の演奏を聴く機会が彼らの出身地 富士宮に訪れる。
3月14日に富士宮市文化会館にて、ユニット結成20年記念コンサートを開催すると聞いた。
故郷に錦を飾るライブ。気合いの入れ方は並々ならぬものがあるであろう。
「ミタタケ」の演奏を富士宮で聴いて欲しい。
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